外見ケア

Q1,抗がん剤治療を受けると必ず脱毛しますか？

A,脱毛を起こさない抗がん剤もあります。

抗がん剤の脱毛頻度の例（単独で使用した場合）

脱毛頻度	薬剤名
90％以上	・パクリタキセル（タキソール） ・ドセタキセル（タキソテール）
50～90％	・ドキソルビシン（アドリアシン） ・シクロフォスファミド（エンドキサン）
10～50％	・シスプラチン（ランダ・ブリプラチン） ・カルボプラチン（パラプラチン）
10％未満	・ジェムザール　・TS1（ティーエスワン） ・5-FU　・ノルバデックス（タモキシフェン） ・アナストロゾール（アリミデックス）

出典：「外科医が知っておくべき がん薬物療法の副作用とその対策」 分田貴子 臨床外科 70 巻 5 号（改変）

※実際は、様々な薬剤を組み合わせて使用します。
※薬剤の組合せ方、使う量や期間などによっても、脱毛の程度は変わります。
※個人差もあります。

Q2,脱毛はいつ頃から起きますか？

A,抗がん剤開始から2~3週間で髪が抜け始めます。

脱毛～回復までの一般的な経過

Q3,抗がん剤開始前に、髪を切った方がいいですか？

A,焦って切らないほうがいいこともあります。

髪を切ることのメリット・デメリット

カットした場合	カットしない場合
「たくさん抜けた」という印象による辛さが軽減できます（特にロングヘア）。 抜けた毛髪の片付けが楽になります。	ある程度の長さがあると、「髪が減った」という印象が出にくいこともあります。 帽子をかぶるとき、襟足やもみあげの毛が残っていれば自然に見えます。

※購入予定のウィッグと合わせた髪形にすることで、自然にウィッグに移行できることもあります。
※購入時に、ウィッグメーカーと相談してみましょう

Q4,脱毛中は、シャンプーしない方がいいですか？

A,頭皮を清潔に保つため、脱毛中もシャンプーを行いましょう。シャンプーにより脱毛が進む、ということはありません。

シャンプーの仕方

1. 髪の毛を水でよく流す（汚れの大半を落とすつもりで）
2. シャンプー剤をよく泡立ててから、頭皮をやさしく洗う
3. 十分にすすぐ（残ったシャンプー剤は刺激の原因です）

 

シャンプーの種類

種類	洗浄力	肌刺激	おススメ度	特徴
高級アルコール系	強い	強い	×	ドラッグストア製品のほとんど
アミノ酸系	あり	優しい	◎	成分に「ラウロイル…」「ココオイル…」などを含む。美容室などで販売
石けん系	あり	優しい	◎～○	慣れるまでギシギシ感あり
オーガニック系	あり	優しい	△	アレルギーもまれにある。食物アレルギーの方は注意

※ウィッグ会社などから、脱毛専用シャンプーも販売されています。
※迷うときは「アトピー用」「敏感肌用」などを選んでみましょう

出典：「女性のがんと外見ケア」（分田貴子著・法研出版）より

既製品
あらかじめカットされ、スタイルができあがっています。カットやセットをしてもらえることもあります。サロンや美容室で尋ねてみましょう。

セミオーダー
購入後、好みに合わせてカットします。カット代が別料金になっていることもあります。

Q6,ウィッグの選び方が分かりません。

A,自分にとって、何が大切かが重要です。

希望をメーカーの方に伝えましょう。
「自然に見えるもの」「手入れが楽なもの」「あまり高価でないもの」など･･･

「医療用」と「おしゃれ用」？

• 厳密な差はありません。
• 「医療用」と書いてなくても、十分良い製品があります。

レンタル

• 初期費用+1日250円程度
  （使用期間によっては、購入するほうが安いこともあります）
• 結婚式や免許更新などの日だけ借りることもできます。

Q7,抗がん剤治療中、髪を染めてもよいですか？

A,避けたほうがよいといわれています

パーマやカラーリングは頭皮への刺激が強いため、治療中は避けたほうがよく、再開の目安は抗がん剤終了から 1年後とされています。
どうしても行う必要がある場合、医師、美容師とよく相談しましょう。抗がん剤によるダメージを受けた頭皮では、うまく染まらない、パーマがかかりにくいこともあります。

発毛剤や育毛剤、頭皮マッサージ？

• 頭皮の血行がよくなることで、抗がん剤が頭皮に集まり、 脱毛がひどくなる可能性もあるといわれています。
• 抗がん剤終了後では、発毛の促進が期待できます。

Q8,肌にも変化が出ますか？

A,乾燥しやすくなります。肌が黒っぽくなることもあります。

肌の黒ずみ（色素沈着）を起こしやすい抗がん剤の例

Q11,抗がん剤により、爪にも変化が出ますか？

A,乾燥して割れやすくなります。変形や黒ずみが起 こることもあります。

爪にダメージを起こしやすい抗がん剤の例

Q12,爪の黒ずみが気になります。

A,様々なカバー方法があります。

△マニキュア

手軽ですが、一般的なマニキュアや除光液は、刺激臭が強く、 爪や指先へのダメージも大きくなります。

○水ベースのネイルカラー

シンナーを含まないため、刺激臭も少なくおすすめです。 消毒用アルコール綿で落とせます。入院棟A・1階売店で販売されています。

○ネイルシール

様々な種類があり、気軽に楽しめます。上からトップコートを塗ると長持ちします。100 円ショップでも購入できます。

Q13,乳腺の手術後は、どんな下着がよいですか？

A, 手術からの期間によって異なります。

• 術後すぐは、前開きの下着が便利です。肌に優しい素材 で、締め付けないものが好まれます。
• 傷が落ち着けば、普通の下着に戻していきます。傷に当たる痛さなどがなければ、ご自身のタイミングでかまいません。
• 必要に応じ、下着にパッドを入れて使用します。柔らかさ、重み、形など様々なものがあります。

※下着、パッド類には多くの種類があります。自分の状態にあう製品を探すには、専門サロンで相談するのがよいで しょう。

※外見ケアイベントでは、乳がん術後に必要な製品の展示も行っています。無料で相談できます。

ご自由に参加ください

外見ケアイベント（月２回）

• 外見ケアに必要な製品の展示相談会

ウィッグ・乳腺術後下着・人工乳房・リンパ浮腫用製品・エピテーゼなど

• 複数メーカーの製品が展示されており、自由に比較できます。
• 会場での販売はありません。
• ボランティアによる、ネイル・ハンドケア・メイク相談などのサービスが受けられます（無料）。

患者サロン（月１回）

• 短いセミナーのあと、自由におしゃべりする会です。
• セミナーのテーマは毎月異なります。

※いずれの会も、どなたでも参加できます。

※詳細は、院内ポスターや病院ホームページを御覧下さい。